・国産生成AI「Sarashina」の無償ベータ版が何かを知りたい
・6つのモデルの違いと、試し始める手順を押さえたい
・会社の文章を入れて試してよいか、規約の中身を確かめたい
SB Intuitionsは2026年10月13日、国産生成AI「Sarashina」を無料で使える「Sarashinaサービス」の無償ベータ版を公開しました。ブラウザのチャットと、6つのモデルを呼べるAPIが、一般の利用者に開かれています。
Sarashinaとは、ソフトバンクの子会社が日本語のデータを重点的に学習させて開発している大規模言語モデルです。押さえておきたいのは、無料で6つのモデルを試せる一方、無償プランの入力はモデルの学習に使われうるということです。本記事では、できること、モデルの用途、始め方、回数の上限、入力データの扱い、まだ公表されていないことを、2026年10月時点の公式情報で整理します。
この記事のゴール(読了目安 約7分)
Sarashinaの無償ベータ版で何ができるかを説明でき、規約と上限を踏まえて、何を入れてどう試すかを決められるようになる。
Sarashinaとは
ソフトバンクの子会社SB Intuitionsが、日本語のデータで重点的に学習させた国産モデルです。無償ベータ版で、個人や開発者も試せるようになりました。
SB Intuitionsの国産LLM
開発元のSB Intuitionsは2023年設立で、ソフトバンクが株式の100%を持つ会社です。Sarashinaは日本語のデータで重点的に学習させた、フルスクラッチの国産モデルで、同社は国産の大規模言語モデルで日本語性能No.1を目指すとしています。強みとして挙げるのは、国内最大規模の計算基盤と、国内データセンターでの厳格なデータ管理です。国産AIとデータ主権の関係は、別記事で解説しています。
2026年10月に無償ベータ版
これまでSarashinaは主に法人向けに提供されてきました。2025年11月に前世代のモデルを商用APIで公開し、2026年6月には最新のSarashina3シリーズをソフトバンクのクラウド「Cloud PF Type A」で提供しています。今回の無償ベータ版で、個人や開発者が申し込みなしで試せる入口ができました。
無償ベータ版でできること
無償ベータ版には、チャットとAPIの2つの使い方があります。
- チャット: ブラウザでAIと対話し、ウェブ検索や文章作成ができます。日英・英日の翻訳も試せます
- API: 6つのモデルを自社のシステムに組み込み、想定する用途に合うかを確かめられます
料金は無料で、終了の時期は決まっていません。同社は利用状況と利用者の声を集め、今後の開発に生かすとしています。
6つのモデルと用途
APIで呼べるモデルは、用途ごとに6つに分かれています。
社内文書を探して答える仕組みなら、ベクトル化のモデルで候補を集め、並べ替えのモデルで関連の高い順に絞ります。判定のモデルは文章を書かないモデルで、出力は安全か有害かと、有害の種類です。6つは1つずつ選ぶより、組み合わせて使えるように分かれています。検索と生成を組み合わせるRAGの仕組みは、別記事で解説しています。

使い始めるまでの流れ
チャットは、公式サイトの「無料で試す」からGoogleアカウントでログインするだけで始められます。事前の申し込みは要りません。ログインした時点で、利用規約とプライバシーポリシーに同意したとみなされます。
APIは、ドキュメントのクイックスタートに沿って進めます。
- キーの発行: コンソールにログインし、APIキーを新しく作る
- キーの設定: 環境変数に入れ、プログラムに直接書かない
- 呼び出し: 公式の送信例をもとに、モデル名を指定してリクエストを送る
キーは秘密の情報なので、ブラウザではなくサーバー側から呼ぶよう案内されています。

使える人と回数の上限
使えるのは、日本国内に住む個人か、国内に本店がある法人です。18歳未満は親権者などの同意が前提になります。
APIには、モデルごとに1分あたりの回数の上限があります。
上限は60秒間の合計で数え、超えるとエラーが返ります。値は利用状況で変わる場合があります。上限を避ける目的で複数のアカウントを作ることは、規約で禁じられています。
入力データの扱い
利用規約上、入力した文章と出力の権利は利用者のものです。ただし同社は、有償か無償かを問わず、入力と出力をモデルの学習や新しいサービスの開発に使えます。学習への利用を断れるのは有償プランだけで、断った後の入力から適用されます。
規約は次の使い方も禁じています。
- 個人の情報: 特定の個人を識別できる情報を入力すること
- 専門的な助言: 医療・法律・金融などの助言として回答を使うこと
同社は入力と出力を保存する義務を負わず、1年以上使っていないアカウントは削除されることがあります。

まだ公表されていないこと
2026年10月13日時点で、公式の情報からは次の点が分かりません。
- 有償プランの料金: 規約に「有償プラン」の定義はありますが、料金は載っていません
- 入力の保存場所: サービスの規約とページに、どこに保存するかの記載はありません
- 重みの公開: 同社のHugging Faceには前の世代が並びますが、Sarashina3は見当たりません
性能は、ドキュメントに同社の評価表があります。ただし評価表の数字は同社の条件で測ったものなので、自社の文章で確かめてから判断します。
【プロの視点】チャットの手応えで決めない
新しい生成AIが出ると、チャットで数問聞いて「日本語が自然だ」と感じたところで評価が終わりがちです。けれど業務で使うのはチャットではなく、検索・判定・生成をつないだ流れです。
無償ベータ版で確かめたいのは、業務1本を6つのモデルの組み合わせで回せるかです。たとえば問い合わせへの回答なら、候補集め、並べ替え、回答作り、安全の判定までを通します。標準モデルの上限は1分6回なので、60件の評価には約10分かかる計算です。件数と時間は上限から組みます。
明日やる最初の一歩は、試したい業務を1つ選び、使うモデルと評価の件数を紙に書き出すことです。

【waltsu視点】公開済みの文章で回数を稼ぐ
無償プランの入力は学習に使われうるので、社外秘や顧客の情報は入れられません。何を入れてよいかを毎回考えていると、試す手が止まります。
waltsuが大事にしているのは、試して直す回数です。自社サイトですでに公開しているFAQや記事、商品説明なら、入れてよいか迷わずに何度でも聞き直せます。試す回数を増やすには、入れる素材を先に決めておくのが近道です。入力と出力を表に残せば、AIの答えを人が確かめられます。
明日やる最初の一歩は、公開済みのFAQを10件選び、質問をチャットに入れて、元の回答と並べて採点することです。
よくある質問
Sarashinaとは簡単にいうと?
ソフトバンクの子会社SB Intuitionsが開発する、日本語に強い国産の大規模言語モデルです。2026年10月から無償ベータ版で試せます。
無料でどこまで使える?
チャットと6つのモデルのAPIを無料で使えます。ただしモデルごとに1分あたりの回数の上限があり、終了時期は未定です。
入力した内容は学習に使われる?
規約上、無償プランの入力と出力は学習に使われる可能性があります。学習への利用を断れるのは有償プランだけです。
会社の仕事で使ってよい?
国内に本店がある法人なら使えます。個人を識別できる情報や社外秘は入れず、公開済みの文章で試すのが安全です。
モデルを手元で動かせる?
2026年10月13日時点で、Sarashina3の重みは公開されていません。自社環境でLLMを動かす方法は、別記事で整理しています。
この記事のポイント
・Sarashinaはソフトバンクの子会社が開発する国産LLMで、2026年10月13日に無償ベータ版が公開された
・チャットと6つのモデルのAPIを無料で試せるが、モデルごとに1分あたりの上限がある
・無償プランの入力は学習に使われうるため、個人の情報や社外秘は入れない
・料金・保存場所・重みの公開は未公表で、性能は自社の文章で確かめる
まとめ
Sarashinaの無償ベータ版は、日本語に強い国産モデルを、申し込みなしで無料で試せる入口です。6つのモデルを組み合わせれば、検索から回答、安全の判定まで一通りの流れを確かめられます。
一方で、無償プランの入力は学習に使われうるため、試す素材は公開済みの文章から選ぶのが確実です。国産の生成AIを業務のどこで試すか迷う場面が出てきたら、waltsuが評価の組み方から試験運用までご支援します。





