・Cloudflare OSが何をする製品か知りたい
・無料で自社に入れられるのか確かめたい
・社員がAIを使う環境づくりを考えている
2026年8月、Cloudflareが「Cloudflare OS」をオープンソースで公開しました。OSという名前から、パソコンの新しいOSを思い浮かべた人もいるかもしれません。
Cloudflare OSは、社員が会社のデータや業務の手順を使ってAIエージェントと仕事を進めるための、ブラウザで使う作業環境です。ソフトは無料でも、動かすには自社のCloudflareアカウントと準備が要ります。本記事では公式ブログとGitHubの説明をもとに、できること、権限の仕組み、動かすのに要るもの、Cloudflare社内での使われ方を整理します。
この記事のゴール(読了目安 約7分)
Cloudflare OSの中身と今の提供状況を把握し、自社で試すか、マネージド版を待つかを判断できるようになる。
Cloudflare OSとは
社員がブラウザからAIエージェントと会話し、調べものや資料づくりを進める会社専用の作業場です。パソコンやスマートフォンに入れるOSとは別物です。
社員向けのAIワークスペース
ブラウザでAIエージェントと会話しながら、調べもの・資料づくり・小さなアプリづくり・定型作業の自動化を進める環境です。社内の用語や手順、つないだ社内システムを前提に動く点が、一般のチャットAIと違います。
パソコンのOSとは別物
パソコンやスマートフォンに入れるOSではありません。Cloudflareのサーバーレス基盤「Workers」の上で動く会社専用のAIの作業場で、社員はブラウザから使います。
公開の経緯と今の状態
初版は2026年5月にCloudflareの全社員が使えるようになりました。8月には作り直した第2版をApache-2.0ライセンスで公開しています。
GitHubのREADMEではアーリーアクセスの段階で、開発の途中とされています。Cloudflareのダッシュボードから使えるマネージド版や、Slackなどのチャットから使う機能は、予定として挙がっている段階です。企業ごとのカスタマイズは、PresidioとHappy Cogの2社が支援します。
できる5つのこと
Cloudflareの公式ブログ(日本語版)の説明から、使い方を5つに分けて整理します。
- 調べて答える: 許可された社内の資料やデータから調べる
- 資料を作る: 文書・プレゼン・表を作り、元データの更新に合わせて直す
- アプリを作る: 画面と保存先を持つ小さなアプリを作り、複数人で使う
- 作業を自動化する: 手動・時刻の指定・出来事をきっかけに動かす
- 知識を共有する: 社内の用語や手順をスキルにして、ほかの社員も使う
会話がそのまま文書やアプリになり、同じ画面で続きを進められます。

3つの構成要素
アプリは1つずつ専用のデータベースを持ちます。共有の方法は同じアプリを複数人で使う形と、設計図だけを渡して複製してもらう形の2つです。設計図で渡るのはコードだけで、データや会話の履歴、資格情報は渡りません。
権限は最初ゼロから
エージェントもアプリも、初期状態では何にもアクセスできません。誰が入れるかはCloudflare Accessで決め、何を使わせるかは管理者が許可します。どのデータをAIに渡してよいかは、先に社内のAI利用ルールで決めておくと許可の判断がぶれません。
外部のサービスとの間には、サービスごとに「Gatekeeper」という仕組みが入ります。Gatekeeperが資格情報を預かり、エージェントには渡しません。読める範囲を1つのリポジトリに絞る、項目を伏せる、外に影響する操作の前に人の承認を挟む、といった設定ができます。
さらに、エージェントが読んだものを記録し、機密のデータを読んだ後の外部への送信など、AIエージェントのセキュリティで問題になる操作を止められます。

モデルと費用の管理
AIのモデルは複数から選べ、推論はすべてCloudflareの「AI Gateway」を通ります。管理者は使えるモデルを決め、利用者・チーム・ワークスペースごとに予算と利用の上限を設定でき、上限に達したときの動きも決められます。
動かすのに要るもの
ソフトは無料ですが、動かす場所と認証は自社で用意します。公開されているスターターのREADMEでは、次のものが要ります。
AIの推論はWorkers AIの無料枠を超えると利用量に応じて費用がかかり、Web検索には無料枠とは別にAI Gatewayのクレジットなどが要ります。入れるには、Cloudflareの設定とコマンドを扱える担当者が要ります。

Cloudflare社内での使われ方
CloudflareのCIOのブログによると、社内では毎週数千人が使っています。会社の発表として、次の数字が挙がっています。
- アプリとツール: 30日で4,000以上が作られた
- 開発のレビュー: 4か月で1万6,000件のマージを止めた
一方で初版より前の反省として、開発者向けの道具では多くの社員が取り残されかねないこと、何でも作れる道具が要らないアプリを増やしたことも書かれています。数字はいずれも会社の発表で、外部の検証はありません。
【プロの視点】毎回AIに作らせない
AIの作業環境は、モデルの賢さや作れるアプリの数で比べられがちです。ただ、Cloudflareが初版から第2版で変えたのは、AIを呼ぶ回数でした。
CIOは毎朝ほぼ同じ報告書をエージェントに作り直させ、そのたびに数千トークンを使っていたと書いています。第2版では処理をコードとして残し、最初の表示で使うトークンはゼロになりました。決まった手順はコードで動かし、判断が要る所だけをモデルに任せる形です。
見るべきは、くり返す作業のうちどれだけをコードに残せるかです。毎回AIに作らせる使い方では、費用も結果のぶれも回数に比例して増えます。明日できることは、毎週同じ形で作っている報告書を1つ選び、手順を箇条書きにすることです。

【waltsu視点】指示は会話の外に置く
社内でAIにサイト制作を任せる検証をしたとき、前の会話で伝えた指示やルールが次の依頼に引き継がれず、同じ指示を何度もくり返しました。パーツごとにエージェントを分けると、今度はデザインがそろいませんでした。原因はまだ特定できていません。
対策として挙がったのは、依頼の状況を保持する管理画面と、パーツの骨格を先に選ばせる仕組みです。どちらも指示を会話の中ではなく、毎回読み込む場所に置く考え方です。Cloudflare OSが社内の用語や手順をスキルとして共有するのも、同じ問題への答えとして読めます。
Cloudflare OSを入れるかどうかにかかわらず、AIに毎回伝えている指示を1つ選んで、先に社内の共有ファイルへ書き出してください。次からはそのファイルを渡せば済みます。
よくある質問
無料で使えますか
ソフトはApache-2.0のオープンソースで無料です。ただしアプリの実行にWorkersの有料プラン(最低月5ドル)が要り、AIの利用量に応じた費用も別にかかります。
プログラミングは必要ですか
使う社員には要らず、会話で指示します。入れる担当者には、Cloudflareの設定とコマンドの操作が要ります。
どのAIモデルを使えますか
複数のモデルに対応し、管理者が使えるモデルを選びます。初期設定ではWorkers AIのモデルが使え、他社のモデルも足せます。Workers AIでは、Cloudflareが自ら学習させた判断モデルのClefも公開されています。
自前のサーバーで動かせますか
今は自社のCloudflareアカウントに置く形です。Cloudflareを使わずに自前のサーバーで動かす方法は、準備中とされています。
ChatGPTなどと何が違いますか
自社のCloudflareアカウントに置き、つなぐ社内システムと権限を自社で管理する点です。どのモデルを使うかも、会社が選べます。
この記事のポイント
・Cloudflareが2026年8月にオープンソースで公開した、社員向けのAIワークスペース
・エージェントとアプリは権限なしで始まり、管理者が許した範囲だけを使う
・ソフトは無料だが、Workersの有料プランとサインインなどの準備が要る
・アーリーアクセスの段階で、マネージド版は予定
まとめ
Cloudflare OSは、社員が会話からAIエージェントを使い、資料やアプリ、定型作業の自動化まで進めるための作業環境です。権限を最初ゼロにして、管理者が許した範囲だけを渡す設計になっています。
今はアーリーアクセスで、入れるにはCloudflareの設定を扱える担当者が要ります。すぐに入れるかマネージド版を待つかは、社内でくり返している作業と、担当者の手が空いているかで決めてください。社内のどの作業からAIに任せるかに迷ったら、waltsuが業務の洗い出しから試す範囲の設計までご支援します。





