・ChatGPT dotsが何なのかを短時間で把握したい
・自社のプランや日本で使えるのかを確かめたい
・まとめ記事の数値を社内資料に貼ってよいか迷っている
2026年9月29日の DevDay 2026 で、OpenAIが dotsを発表しました。常時稼働のエージェントという紹介が先に広まり、数値つきのまとめ記事が並びました。ところが数値の出どころをたどると、公式の発表ページは機械的な取得を受け付けておらず、どこまでが公式の記述なのか判りません。
ChatGPT dotsとは、ChatGPTから呼び出せる常時稼働のエージェントで、クラウド上に自分専用のコンピュータとブラウザを持ちます。いま価値があるのは、確認できた仕様と確認できていない仕様を分けることです。本記事では公式ドキュメントで読み取れた範囲だけを断定し、対象プラン・利用枠・止め方と、公式が答えていない論点を整理します。
この記事を監修した人

システムエンジニア
小洞 映コボラ ハユル
この記事のゴール(読了目安 約10分)
ChatGPT dotsを1文で説明でき、自社が対象かどうかの確かめ方と、公式資料で確認できた仕様・まだ公表されていない論点の切り分けを持ち帰れるようになる。
ChatGPT dotsとは
dotsは、会話が終わっても仕事を進め続けるエージェントです。動き方と、利用者のアカウントへの紐づき方を順に見ます。
会話の合間も動き続ける
公式ドキュメントは dotsを「ツールやプロジェクトをまたいで仕事を進め続ける、常時稼働のエージェント」と説明しています。動かすモデルは GPT-6 Astraで、調査、データ分析、資料作成、開発を担います。会話が終わったあとも進捗を追い、変化があれば自分から知らせ、判断が必要な場面では人に戻します。
自分のアカウントに紐づく
dotsは利用者のアカウントに結びつき、@yourname-dot の形のハンドルを持ちます。名前を付け替えるとハンドルも変わり、見た目はあとから何度でも変えられます。見落としやすいのは権限で、アカウントで有効なプラグインを既存の権限のまま使います。AIエージェントの仕組みは別記事で解説しています。

仕様は2つに分けて読む
公式資料のうち中身を読めたのは2本だけで、価格と性能の数値はそこに載っていません。何が書いてあったかを先に示します。
読めた資料と読めなかった資料
2026年10月の初旬に、公開されている資料を取得して確かめました。読めたのは ChatGPTの公式ドキュメント2本で、公式の発表ページとヘルプページは機械的な取得を受け付けませんでした。中身を確認できないものは根拠にしません。
確認できたのは何か
読めた2本にあるのは、製品の性格、対象プラン、連絡の経路、記憶の持ち方、利用枠、止め方です。価格と性能の数値は1つも載っていません。
数値の出どころを見る
社内に共有する前に、その数値がどのページに載っていたかを確かめてください。読めない資料を根拠にした数値は、合っていても確かめようがありません。
ふだんのChatGPTと何が変わるか
違いは2つあります。渡すものが1回の作業から続く受け持ちに変わることと、画面を閉じても作業が続くことです。
渡すのは作業でなく受け持ち
ふだんのChatGPTは、聞かれたことに答えて終わります。dotsは仕事そのものを引き受け、進める途中で判断が必要になったときだけ人に戻します。渡すのは1回の作業ではなく、続いている受け持ちです。
画面を閉じても続いている
もう1つの違いは、利用者の端末が落ちていても動き続ける点です。会話と会話のあいだも作業が進むので、人が結果を見ていない時間が業務の中に生まれます。この性質が、このあとの利用枠・止め方・確認の間隔に関わります。
動く場所と連絡の経路
dotsはクラウド上の自分用の作業場で動き、ChatGPT、Slack、Teams、通話のどこから話しかけても同じ相手に届きます。
自分用のコンピュータとブラウザ
dotsはクラウド上に自分専用のコンピュータとブラウザを持ちます。手元のパソコンを遠隔で操作するのではなく、向こう側に作業場があるという形です。公式ドキュメントは対応プラグインと書いているだけで、接続先の具体名や数は載っていません。
窓口が変わっても記憶は続く
連絡の経路は ChatGPT、Slack、Teams、通話で、どこから話しかけても同じ相手に届きます。モバイルウェブは非対応で、モバイルアプリは対応の更新を待つことになります。記憶の源は次の3つです。
- 会話: いま進んでいるやりとり
- ChatGPTのメモリ: 関連づけられた既存の記憶
- 自分用のメモ: 好み・決定・進行中の仕事の保存
3つ目のメモは、会話と連絡経路をまたいで持ち越されます。ある窓口で伝えた前提が、別の窓口での作業にも反映されます。
使える人と作り方
使えるかどうかはプランと地域で決まり、作成はデスクトップからしかできません。
対象のプランと地域
対象は Pro 100・Pro 200・Pro 500、Business Premium、Enterpriseです。Proは18歳を超えた利用者で、かつ EEA(欧州経済領域)・英国・スイスの外にいることが条件です。あとの2つは世界で順次提供され、Enterprise は既定でオフ、管理者が有効にします。日本は除外地域に含まれていませんが、提供は段階的なので条件を満たしても見えないことがあります。
作れるのはデスクトップだけ
作成はデスクトップのアプリ、またはデスクトップのブラウザから行います。スマートフォンだけで業務を回している人は、作る段階で別の端末が必要になります。
利用枠は2系統に分かれる
dotsとの会話は利用上限に数えませんが、dotsが始めたタスクは別の製品の上限を減らします。
会話は枠を減らさない
公式ドキュメントは、dotsとの会話は ChatGPTの利用上限に数えないと書いています。ここだけを読むと、制限から外れたように見えます。
渡したタスクは枠を減らす
ところが同じページに続きがあります。dotsが Work や Codexで開始・管理するタスクは、その製品の上限に通常どおり数えられます。プランには深い作業のための割り当てが含まれ、ローンチ後1か月は上限が拡張されます。
会話していないあいだに別の製品の上限が減り、拡張期間が終わった頃に上限に達する時期が変わります。最初の1か月の実感で判断すると見誤ります。
自社でも、ブログの全記事をAIに読み込ませてレポートを作らせていた時期に、月曜の定例会議の直前で利用上限に達し、会議の進め方を組み替えたことがあります。重い処理を走らせる時刻と読み込ませる量を決めていなかったのが原因でした。上限に当たると、止まるのはAIではなく業務のほうです。

止め方は3か所に分かれている
Pauseで止まるのはメインの作業だけです。委譲したタスクとくり返しのタスクは、それぞれ別の場所で止めます。
いま動いている作業を止める
公式ドキュメントによれば、いま動いているメインの作業は Pause で止めます。常時稼働の製品なので、止める手順は社内に配る文書へ書いておく必要があります。
委譲とくり返しは別に止める
ただし Pause だけでは全部は止まりません。止める場所は3か所に分かれています。
- Pause: いま動いているメインの作業
- Activity: 委譲したタスク
- Scheduled: くり返しのタスク
手順を配る側が決めるのは、誰がこの3か所を開けるかです。どこで人が承認するかの設計は別記事で解説しています。
公式が答えていない4つの論点
覚えた内容の扱い、接続を外した後の情報、dotsそのものの削除、データの保持期間の4点は、読めた公式資料に記載がありません。
覚えた内容を見られるか
読めた2本の公式ドキュメントに、dotsが覚えた内容を見る・直す・消すための手段は書かれていません。Pause で作業は止まりますが、記憶がどうなるかは別の話です。まとめ記事もここには触れていません。
接続を外した後に残るもの
接続したアプリを外したとき、それまでに取り込んだ情報がどう扱われるかも記載がありません。dotsそのものを削除する手順、データの保持期間も同じです。
法務に最初に聞かれるのはこの4点です。記載がないという事実のほうを先に共有してください。推測で埋めた回答は、あとで覆ります。AIが見られる範囲をどう設計するかは別記事で解説しています。
権限は設計の前に引き継がれる
dotsは既存の権限をそのまま使うため、最初にやるのは権限の設計より、人ごとの棚卸しです。
許可リストより先に棚卸し
ガバナンスの定石は、エージェントに専用の権限を用意してから渡すことです。ところが dotsは、有効にしているプラグインを既存の権限のまま使います。作成の時点で権限を設計する余地がありません。だから許可アプリの一覧を会社で決めても、実際に何が有効かは人ごとに違います。社内ルールに何を書くかは別記事で解説しています。
3か所を見る人を決める
最初の作業は設計ではなく、人ごとの棚卸しです。もう1つ決めるのは、止める3か所を日常的に見る人です。順序が逆だと、現実と合わない文面だけが残ります。
小さく試すときの順番
dots固有の4つの制約に収まる仕事を1件選び、2週間は3つの記録だけを残します。
最初の1件の選び方
選ぶ基準は dots固有の制約から決まります。作成がデスクトップだけ、提供が段階的、枠が2系統、止め方が3か所。この4つに収まる仕事から始めてください。どの工程なら渡せるかの判定は別記事で解説しています。
2週間で残す3つの記録
期間を決めて、残す記録を3つに絞ります。
- 人へ返ってきた判断の件数: どれだけ人の手が要ったか
- 人が手を入れた箇所: どこを任せきれなかったか
- 止めた回数: 3か所のどこをいつ使ったか
この3つは、次に何を渡すかを決めるためだけに取ります。成果を測る数字は、仕様が固まってからで間に合います。
試す前に起きる4つの読み違い
発表からの数日で、すでに次の読み違いが起きています。
- 常時稼働を全自動と読む: 判断が要る場面では人に戻ります
- 会話が枠を減らさないから使い放題と読む: 渡したタスクは別の上限を減らします
- Pauseで全部止まったと思う: 委譲とくり返しは別の場所で止めます
- まとめ記事の数値を仕様として扱う: 出どころが読めない数値が混ざります
4つとも、読み違えたまま社内資料になると、あとから直せません。
【プロの視点】見るのは権限より確認の間隔
常時稼働のエージェントの話になると、出てくる助言はだいたい2つです。読み取り専用から始めよう、権限を絞ろう。どちらも dotsには当てはまりません。権限は既存のものを引き継ぐので、作成時に絞る場所がないからです。
置き換えるべき軸は、権限の広さではなく人が結果を見ないまま過ぎる時間の長さです。端末が落ちていても動き、止め方は3か所に分かれ、覚えた内容を見る手段は公表されていません。権限をどれだけ絞っても、気づくのが遅れた分だけ損が積み上がります。
判断すべき問いは「どこまで許すか」ではなく「何時間見ないでいられるか」です。1時間ごとに結果を見る仕事と、1週間見ない仕事では、同じ権限でも起きることが違います。試す前に、確認の間隔を先に決めてください。
発表から日が浅いうちは、仕様そのものが動く前提で読む必要があります。確認の間隔を短く取れば、仕様の変化にも早く気づけます。間隔は、権限よりも安く変えられます。
権限・ツール・監督をどう層で設計するかは別記事で解説しています。

【waltsu視点】1体に1つだけ渡す
dotsは受け持ちをまとめて渡せる形ですが、waltsuの運用は逆に行き着きました。
自社でも記事制作にAIエージェントを使っていますが、1体にいくつもの仕事を持たせるやり方はやめ、1体につき1つのタスクだけを割り当てる形に運用を揃えました。1体に複数を渡すと読み込む情報が膨らんで判断がぶれる、という点で社内の見方が一致しました。
ただ、実際に役立っているのはそこではありません。1体にいくつも渡して結果が悪かったとき、どの仕事が原因だったのかを言えないという点のほうが重い。次の1手が決まらないからです。1体1タスクにしておくと、悪かった結果が原因と結びつき、次に何を変えるかが決まります。
waltsuが価値を置いているのは、作業が速く終わることではなく、試した回数が増えることです。原因が分かる形で試せば、1回の試行が次の1回の改善につながります。
明日できることを1つ挙げます。いま dotsに渡そうとしている仕事を紙に書き出し、1行だけ残して他を消してください。残った1行が、最初に渡す受け持ちです。

よくある質問
dotsは日本でも使えますか
Proの対象条件は、18歳を超えた利用者で、かつ EEA・英国・スイスの外にいることです。日本はこの除外地域に含まれていません。ただし提供は段階的なので、条件を満たしていても画面に出ていないことがあります。
dotsの料金はいくらですか
読めた公式ドキュメントに価格の記載はありません。対象プランの名前はありますが、金額や追加費用は載っていないため、本記事では金額を扱いません。契約の前に提供元の最新の案内を確認してください。
会話は利用枠を消費しますか
dotsとの会話は ChatGPTの利用上限に数えません。ただし dotsが Work や Codexで始めたタスクは、その製品の上限に通常どおり数えられます。ローンチ後1か月は上限が拡張されるため、その期間の実感で判断しないほうが安全です。
覚えた内容は消せますか
読めた公式ドキュメントに、覚えた内容を見る・直す・消す手段の記載はありません。Pause で作業は止められますが、記憶の扱いは分かっていません。扱いが確認できるまでは、機密を渡さない運用にしてください。
何から試すのがよいですか
作成がデスクトップだけで、枠が2系統に分かれ、止め方が3か所にあります。この制約に収まる仕事を1件選ぶのが近道です。向き不向きは、渡す前に社内で合わせてください。
この記事のポイント
・ChatGPT dotsは、クラウド上で常時稼働するエージェント
・読めた公式資料は2本。価格と性能の数値はそこに無い
・利用枠は2系統、止め方は3か所に分かれている
・記憶の確認手段とデータの保持期間は公表されていない
まとめ
ChatGPT dotsは、クラウド上に自分専用の作業環境を持ち、端末が落ちていても仕事を進め続けるエージェントです。連絡の窓口が変わっても同じ相手に届きます。
一方で、読めた2本にあるのは、製品の性格、対象プラン、連絡の経路、記憶の源、利用枠、止め方までです。価格や性能の数値、覚えた内容の確認手段、保持期間は載っていません。公表されていないことを、そのまま未確定として扱えるかが差になります。
先にやることは2つです。人ごとに何のプラグインが有効かを棚卸しし、止める3か所を日常的に見る人を決めること。そのうえで、常時稼働のAIに何を任せ、どこで人が確かめるかの線引きに迷う場面が出てきたら、waltsuが業務の切り分けから運用設計までご支援します。





