・前任者からMovable Typeのサイトを引き継いだ
・料金や最新版を今の情報で知りたい
・このまま使うか、別のCMSに移るかを決めたい
「今のサイトはMovable Typeです」と言われて調べると、価格も最新版も解説記事ごとに違います。
Movable Type(ムーバブルタイプ)は、記事を公開するときにHTMLを書き出しておくCMSです。続けるかどうかは書き出しの仕組みより、版を上げ続けられるかで決まります。本記事では2026年10月時点の公式情報をもとに、仕組みと製品の種類、料金、サポート期間、脆弱性への備えを整理します。
この記事のゴール(読了目安 約7分)
Movable Typeの仕組みと現行の料金・最新版・サポート期間を把握し、手元のサイトを続けるか移るかを判断する材料をそろえる。
Movable Typeとは
Movable Typeはシックス・アパートのCMSです。会社の成り立ちのあと、2026年10月時点の最新版と、動かすのに要る言語を確かめます。
シックス・アパートが作るCMS
Movable Typeは、シックス・アパートが開発・販売するCMSです。CMSの仕組みと種類は別記事で解説しています。同社は2001年に米国で創業し、2011年に日本法人が事業と商標を継承、2016年に従業員による買収で独立しました。開発元の本社機能は日本にあります。
2026年10月時点の最新版
Movable Type 9は2025年10月22日に提供が始まり、最新は2026年10月7日公開の9.3.0です。本体はPerlで動き、PHPは閲覧時にページを組み立てるダイナミックパブリッシングを使うときだけ要ります。
公開時にHTMLを書き出す仕組み
公開のたびに関係するページをHTMLファイルとして書き出し、閲覧者にはそのファイルを返します。この「再構築」の説明のあとに、5つの公開プロファイルを並べます。
再構築でページを作る
記事を公開すると、記事のページや一覧、カテゴリ別のページなど、関係するページをHTMLファイルとして書き出します。これが「再構築」です。閲覧のたびにページを組み立てる型のCMSと違い、閲覧者には書き出し済みのファイルを返すのが基本の形です。テンプレートを直したときは、サイト全体の再構築が要ります。
5つの公開プロファイル
- スタティック: 全ページを再構築の時点で書き出す
- バックグラウンド: 公開キューで定期的に書き出す
- 一部アーカイブのみ非同期: メインページと記事は公開時、ほかはキューで
- ダイナミック: 書き出さず、閲覧のたびに表示する
- アーカイブのみダイナミック: アーカイブだけを閲覧時に出力する

静的出力の利点と負担
- アクセスの集中: ファイルを返すので閲覧ごとの処理が少なく、公式も負荷の少なさを挙げる
- サーバーの分離: 管理画面と公開サーバーを分けられる(クラウド版の配信機能、ステージングパック)
- 反映までの時間: 書き出しはページとテンプレートの数で長くなる
- 表示の出し分け: 利用者ごとに変えるページはダイナミック側の設定が要る
速さや負荷はサーバーの構成でも変わり、静的だから必ず速いとまでは言えません。
製品の種類
選ぶときは、本体の更新を自社でするか、提供元に任せるかから絞れます。Data APIで外部とデータをやり取りすることもでき、ヘッドレスCMSの仕組みは別記事で解説しています。
【関連記事】ヘッドレスCMSとは?WordPressとの違いと向き不向きを解説
ライセンスと料金
2026年10月時点の公式価格です(税込。AMI版は米ドル)。
ソフトウェア版は1インストールでユーザー数は無制限です。解説記事にはソフトウェア版99,000円、クラウド版月5,500円からといった以前の価格が残っているので、契約前に公式の価格ページで確かめてください。

版ごとのサポート期間
- リリース: 4か月ごとに年3回
- 長期サポート版(LTS): 提供開始の1年後の版。以後は2年ごと
- 保守の対象: 常に最新版だけ
公式のライフサイクルポリシーでは、9.0系のEOLは2027年秋、9.3系は2030年秋の予定です。Movable Type 8は2027年秋にEOM、2029年秋にEOLを迎えます。EOMの後は重大な脆弱性だけを提供元の判断で修正し、EOLの後は修正が一切出ません。年間メンテナンスを続けていれば、メジャー版の更新に追加の購入は要りません。

導入実績の数字の読み方
公式は国内5万サイト以上とし、2026年7月時点のライセンス登録で日経平均の構成銘柄の61.3%、国立大学の83.5%などを挙げています。一方、W3Techs(2026年10月26日)では、CMSを判別できたサイトの0.1%未満です。
- 公式の割合: ライセンスを登録した企業の割合。主要サイトが今もMovable Typeとは限らない
- W3Techsの割合: ページのソースから判別する。公式はソースからは判別しにくいと説明している
二つの数字は、数え方が違います。自社の判断には、保守を引き受ける会社が近くにいるかのほうが材料になり、公式のパートナー制度(ProNet)には全国約300社が参加しています。
向いている組織と向かない組織
- 向く: 更新の型が決まり、承認の段階を踏む。告知でアクセスが集まる。国内の日本語サポートで保守の範囲を決めたい
- 向かない: 会員サイトやECが主役。MTタグを書ける人も委託先もいない。ライセンスと年間メンテナンスの予算を毎年確保できない
移る前に確かめること
- 版とEOL: 今の版と、修正が止まる日付
- 公開側のCGI: 公開サーバーに置いたCGIと、使っていないもの
- テンプレート: MTタグで書いたテンプレートの数
- 書き出しの手段: MTのエクスポート形式と、移る先の読み込み機能
- 公開プロファイル: 再構築の設定を新しい環境でどう置き換えるか
MTタグのテンプレートは別のCMSでは使えません。続けるなら、最新版への更新や、公式の移行サービスでクラウド版へ移す道もあります。URLや検索の設定を崩さずに移す注意点は別記事で解説しています。
【関連記事】【失敗しない】Webサイトリニューアル前に知っておきたい10の注意点と成功の手順
【プロの視点】静的でも公開側にCGIが残る
「静的なHTMLだから安全」という説明は、検索結果の要約にも出てきます。
2026年10月7日、シックス・アパートは2件の脆弱性を公表しました。CVE-2026-96408はアップグレード用のCGI(mt-upgrade)で、外部からのコード実行や不正なSQLのおそれがあります。CVE-2026-103668は検索用のCGI(mt-search)で、非公開のデータが出力されるおそれがあります。影響範囲には、修正の提供が終わったEOL版も含まれる点が見逃せません。すぐに更新できなければ、mt-upgrade・mt-search・mt-ftsearchのCGIを削除するか、アクセスを遮断します。クラウド版は全環境を緊急メンテナンスで更新したと告知されました。
守る対象は、ページが静的かどうかより、公開サーバーで動くプログラムの数と版です。まず公開サーバー上のCGIを一覧にし、使っていないものに印を付けましょう。

【waltsu視点】再構築の待ちを測る
waltsuはサイトの改善を、文言や構成を変えて反応を見る回数で考えています。Movable Typeでは、変更が公開されるまでに書き出しが挟まり、テンプレートを1か所変えると全体の再構築が必要です。待ちが長いほど、1日に試せる案の数は減ります。
続けるか移るかは機能の表より先に、変えたい単位ごとの公開までの待ち時間で見てください。手始めに、記事1本の更新とテンプレート1か所の変更で、公開までの時間を計ってみましょう。
よくある質問
Movable Typeとはどういう意味?
英語で、活版印刷の可動活字を指す言葉です。製品としてはCMSの名前です。
WordPressとの違いは?
Movable Typeは商用ライセンスの製品で、公開時の書き出しが基本です。WordPressはオープンソース(GPLv2以降)のCMSです。
無料で使える?
個人の日記などは無償の個人ライセンスで使えます。法人は有償で、ソフトウェア版には30日間の無料トライアルがあります。
デメリットは?
ライセンスと年間メンテナンスの費用、再構築の待ち時間、テンプレートにMTタグの知識が要ることです。
古い版のままでも大丈夫?
EOL版には修正が出ません。2026年10月の脆弱性はEOL版も対象なので、更新するか該当するCGIを止めてください。
この記事のポイント
・Movable Typeは公開時にHTMLを書き出す、シックス・アパートのCMS
・2026年10月時点の最新版は9.3.0、ソフトウェア版は132,000円(税込)
・常に最新版だけが保守の対象で、EOL版には修正が出ない
・静的なページでも、公開サーバーのCGIは脆弱性の対象になる
まとめ
Movable Typeは記事の公開時にHTMLを書き出す商用CMSです。続けるか移るかは、版を上げ続けられるか、公開側に残るプログラム、再構築の待ちで判断できます。
まずは今の版と、公開サーバーのCGIを確かめてください。Movable Typeのサイトを続けるか移るかで迷ったら、waltsuが今の構成をもとに進め方をご支援します。





